カリフォルニアが燃えています。またです。山火事は、夏や秋に暖かい風が小さな火を起こして発生する、カリフォルニアの生態系における自然現象のひとつですが、自然に発生したのか、それとも人間が誤って、または故意に起こしたのか、ここ数年は山火事シーズンが長くなり、また火災の規模も大きくなっています。
このことが消火活動の大きな妨げとなっています。住民を避難させ、火を消し止めるために多くの消防士が広範囲に必要なため、これらの活動を同時に行うことができず、順番に行わなければなりません。 この問題は2017年にカリフォルニアで約50万エーカー(1エーカー=約4,046 ㎡)が燃え、火事がクリスマス近くまで続いた時に表面化しました。通常は山火事で燃えるのは1年間で平均600万エーカーですが、その年はアメリカ全土で920万エーカーが燃えました。そして、山火事の被害に対する国の支払額はおよそ100億ドルでした。 2017年の山火事の原因の一つは、前年にハワイから暖気団が流れ込み、カリフォルニア北部が数週間大雨に見舞われ浸水したことでした。カリフォルニア南部でもその冬は雨がとても多く降りました。これにより燃えやすい木々がぐんぐん成長し、その木々が暖かい夏に乾燥し山火事の発火源となったのです。カリフォルニア南部で吹く乾燥した風サンタ・アナがあちらこちらで風速70 mph(112 km/h)に到達し、火事が驚異のスピードで広がりました。山火事「トーマス」は秒速1エーカーの速さで燃え広がり甚大な被害をもたらしました。 2017年の山火事を“ひどい”としたら、2018年の山火事はそれ以上にひどかったです。大規模な火災がカリフォルニアの北部と南部で発生しました。非常に大きな山火事「キャンプ・ファイヤー」はパラダイスの町を焼きつくし、86人が死亡しました。ロサンゼルス消防局のダリル・オズビー本部長は、山火事「ウールジー」は、消防士たちが今、自分たちの生命に対する最も異常で困難な闘いに直面するようになっていることを示したと話しています。そして、カリフォルニア南部のより乾燥した地域はこれまで北部の消防士たちに支援を頼っていましたが、彼らは今、北部の「キャンプ・ファイヤー」の消火活動に回らなければならず、助けを求められないと言います。「われわれの戦略にも影響が出ています。これまでは北部のパートナーに支援を要請することができましたが、今は、彼らも北部で大きな山火事と戦っています。」 アリゾナ州、ユタ州、ネバダ州、ワシントン州から消防士を派遣してもらい、火災の拡大を防ぐのに必要な援助を得ることができるとオズビー本部長は言いました。 「この山火事と戦う上で一番の障害であったのは、火を消し止めるために十分な消防士がいなかったことです。」「通常、われわれは3つのことをすべて同時に行いますが、今は一つずつ順番に行わなければなりません。まずは命を守ることです。」 「実は、カリフォルニア州の状況を見てみると、気候変動は州全体で起きています。」そして、オズビー本部長は続けました。「当分ずっと続くでしょう。」 一方、アメリカ大統領ドナルド・トランプ氏は山火事について森林の管理不行き届きを非難しました。「カリフォルニア州の大規模で甚大な被害を出している山火事の原因は森林の管理が誤っていることにほかならない。毎年何十億ドルも費やされているにもかかわらず、森林のひどい管理のために非常に多くの命が失われている。今すぐ改善しないなら、もう国のお金は使わない!」とツイートしました。 2019年、再び何千という消防士がアメリカ全土で山火事と戦っています。暖かい気温、強風、乾燥によってアメリカは“火口箱”と化しています。 カリフォルニア州知事ギャビン・ニューサム氏は、サンタ・クラリタ・バリーの「ティック・ファイヤー」やロサンゼルスのゲティセンター美術館近くで発生した山火事など複数の大規模な火災を抑えるために消防士たちが活動を行った10月27日に非常事態宣言を出しました。最も規模が大きかったソノマ郡の「キンケード・ファイヤー」では20万人ほどの人々が避難を強いられました。 倒れた木で電線が切れ発火するリスクを防ぐために、電力会社は何百万もの世帯の電気を停止し、停電が数日間続くこともありました。 2019年の山火事は史上最悪を記録した2017年や2018年の山火事ほどの規模には達しておらず、今のところ死者も出ていませんが、多くの住民は耐えられない暑さ、頻繁に起こる山火事、停電、避難を余儀なくされることで、もうカリフォルニアには住めないと感じ始めています。 “カリフォルニア・ドリーム”は悪夢となりつつあります。 |
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7月 2022
筆者Jeff |