今年も一年で最も流行した新語を辞書出版社が選ぶ時期がやって来ました。英国の出版社コリンズ(Collins)とチェンバース(Chambers)は先頃それぞれのリストを発表しました。
数週間の検討を経て、チェンバースは今年の単語に「overshare(オーバーシェア:共有しすぎ)」を選びました。人が自分の生活の詳細までソーシャルメディアに掲載するデジタル時代の今、キム・カーダシアン本人の骨格のクローズアップとか、フェイスブックに公開されたキムのいちゃつく様子など、「overshare」は知りたくもないことに対して使う言葉です。チェンバースでは、「overshare」を「個人生活の詳細を容認し難いほどあけっぴろげにすること」と定義しています。「人々は過去にないほど物事を公開している」とし、「overshare」は「実に英国的」であり、「巧妙かつ辛辣な、つまり誰も自分には向けられたくない袋叩き」であるともしています。 コリンズの今年の単語は、チェンバースのリストにも載った「photobomb(フォトボム)」でした。ちなみに「photobomb」とは「対象者が知らないうちに写真の背景に映り込むこと」です。コリンズによると、「photobomb」は2008年に初めてグーグル検索に登場し、2012年から広く使われるようになりました。今年は使用率が100%増加したそうです。「フォトボム画像」の例として、アカデミー賞授賞式でポップグループU2の後ろに映り込んだベネディクト・カンバーバッチ、ジョージ・クルーニーの結婚式で映り込んだノルウェーのクルーズ船、ロンドン五輪の開会式で女王の写真に映り込んだ役人などが挙げられています。 チェンバースのリストには、ほかにもネット関連の流行語が掲載されていました。批判やののしりに使うハッシュタグ「bashtag(バッシュタグ)」、幼少期にコンピュータの使い方を学んだ「digital native(デジタル・ネイティブ)」、またこのリストには驚くことに「hipster(ヒップスター:新しがり屋)」も入っていました。かつての「hipster」とは、モダンジャズを好み、1950年代から60年代のビート世代に属したサンダルにひげ面、色の濃い角縁のメガネかけた人たちを意味していました。今日の「hipster」は、「1980年代から90年代生まれで、自身が育った中流文化を見下し、ボヘミアン風の自由奔放な生き方や服装を自意識過剰なまでに取り入れる人」を意味しているそうです。 リストにはほかにも、人/場所/政治家/企業/機関の批判・嘲笑を専門とするウェブサイト「gripe site(グライプ・サイト)」、クリック報酬型広告のペイ・パー・クリックを利用した詐欺「click fraud(クリック詐欺)」、情報技術を使った手の込んだやり方で他人に危害や嫌がらせを繰り返す「cyberbully(ネットいじめをする人)」、放置アカウントを使って、他人のフェイスブックの内容を変える「fraping(フレーピング)」が挙げられていました。 逆に、前年度までのリストにある流行語を英語として禁止すべきとする動きもあります。年間を通じて「誤用や濫用が起こっていること、また一般的に無用であることから、クイーンズ・イングリッシュから排除すべき言葉」への推薦を受けつけているレイク・スペリア―州立大学(ミシガン州)によると、この中には「selfie(自撮り)」、「twerk(トゥワーク)」、「Twittersphere(ツイッター界)」、「hashtag(ハッシュタグ)」が含まれています。 好き嫌いはさておき、2014年の流行語はこんなところでした。 |
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7月 2022
筆者Jeff |