「シソーラス(類語辞典)」を知っていますか。もしかしたら、すでにお持ちの方もいるかもしれませんね。類語辞典は新しい単語の習得に役立ちます。さらに同じ言葉や言いまわしの繰り返しを避けることができるので、いっそう魅力的な文章を書けるようになります。また、使いたい言葉を見つけるのにも便利です。
類語辞典は辞書の一種で、類似した意味の言葉が(場合によっては反対語も)一覧になっています。多くのシソーラスが出回っていますが、最も有名なものは『Roget’s Thesaurus of English Words and Phrases(ロジェ類語辞典)』でしょう。1805年、若き医師ピーター・マーク・ロジェ(Peter Mark Roget)が自分で使用するために「分類された言葉のカタログ」を考案したのが始まりです。1852年、年齢を重ねたロジェはついに『シソーラス』を出版しました。それが現在の形にまで拡張・発展したものがロジェ類語辞典です。当初の構成原則がずっと変わらずに使用されています。この『シソーラス』はたちまち評判となり、ロジェの存命中(1868年に91歳で死亡)に第28版まで出版されました。それ以降も改訂を繰り返しながら出版が続いています。 ロジェ類語辞典の一つの特徴に(ただし、全バージョンには該当しない)、単語を「見出し語」別や「トピック(概念)」別に集めていることがあります。見出し語やトピックは合計で990あります。「Quantity」、「Causation」、「Matter」、「Identity」などが見出し語に当たります。990の「見出し語」によって語彙で表現されるものは、ほぼすべてが網羅されています。ロジェの分類体系を使用することで、使い慣れたシソーラス・ユーザーは特定の概念にぴったりあった単語を手早く見つけることができるのです。 では英語を学ぶ場合、この辞書はどのように使えばいいでしょうか。分類体系に習熟するまでは、本の末尾にある索引を利用するのがいいでしょう。例えば、よく使う単語を別の似ている単語に置き換えたい場合や、耳にしたことはあるものの覚えていない単語を使う場合に利用します。 前者の場合は、一般的な単語リストになっている索引で、アルファベット順に見ていくだけです。例えば、置き換えたい言葉が「narrow」だとしましょう。索引で「narrow」を調べると、「make smaller vb」、「narrow adj」、「narrow-minded adj」、「restraining adj」の4項目があります。形容詞の「narrow」が必要であれば、該当する項目を確認します(この場合は「見出し語」番号206で「Narrowness. Thinness」)。ここに「名詞」、「形容詞」、「動詞」に分かれた単語リストがあります。形容詞リストには「strait」、「tight」、「pinched」、「slender」、「slim」、「svelte」、「slinky」など数多くが掲載されています。どれか一つは使えるはずです。ただし、ここで注意をする必要があります。まったく知らない単語を使う場合は、必ず事前に英語学習向けの英英辞典で単語の意味を調べましょう。その単語が実際に伝えたい意味を持っているのかどうかを確かめてください。 後者は、「喉まで出かかっている(on the tip of your tongue)」けど思い出せない単語がある場合です。まずは似たような意味の単語を思い浮かべてください。例えば「anger」を思い浮かべたとします。索引で「anger」を調べて「anger 891 n」の項目に行きます。「見出し語」891「Resentment. Anger」の単語リストを見ると、知らなかった単語がたくさん載っています。その中には思い出したかった「vexation」もあるはずです。やれやれ「ほうっとため息が出る(breathe a sigh of relief)」感じですね。 |
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7月 2022
筆者Jeff |