学生によく言うのですが、ネイティブスピーカーでも間違いはあります。とは言っても、英語を勉強中の人たちと同じような間違いはしません。言葉を使う上で間違えるのは自然なことです。ですから、間違いを恐れないようにしましょう。では、ネイティブスピーカーがよくする間違いを見ていきましょう。
言い間違い 急いで話す場合やプレッシャーを受けながら話す場合、文が複雑な場合やよく知らない話題について話す場合に、ネイティブスピーカーでもよく文法などの間違いをします。テレビのスポーツキャスターによくあるミスです。俗に「コールマンボールズ(Colemanballs)」と呼ばれています。BBCのスポーツキャスター、デイヴィッド・コールマンに由来しています。「Brendan Foster, by himself, with 20,000 people」といった言い回し(言い間違い)は有名です。おそらく「Brendan Foster was all alone on the track, with 20,000 people watching.(ブレンダン・フォスター*はいつも何万もの観衆に見つめられながらたった一人でトラックを駆けている」といった意味のことを言いたかったのでしょう。 * ブレンダン・フォスター:イギリスの陸上選手。モントリオールオリンピック銅メダリスト。 別の間違いとして、思ったことと違う言葉を口に出すものがあります。たとえば 「nature conservation” (自然環境保護)」と言うつもりが「nature consternation”(自然の驚愕)」と言ってしまう場合です。これはたいてい言った本人が気づいてすぐに言い直します。 別の言い間違いとして、19世紀のオックスフォード大学の教師にちなんだ「スプーナリズム:Spoonerisms(頭音転換)」があります。これは単語の最初が入れ替わってしまう間違いで、面白おかしく聞こえてしまうことがよくあります。以下に一例を挙げましょう。 You have missed all my history lectures. You have wasted the whole term. Please leave Oxford on the next down train. 君は私の歴史の講義をすべて欠席した。学期全体を無駄にしたのだ。次の下り列車でオックスフォードを去りたまえ。 You have hissed all my mystery lectures. You have tasted the whole worm. Please leave Oxford on the next town drain. 君は私のミステリーの講義をシーと言って非難した。虫を丸ごと味わったのだ。隣町の排水溝でオックスフォードを去りたまえ。 標準から外れた形式 方言や標準でない形式は間違いではありませんが、英語を勉強中の人たちは頭をひねるかもしれません。イングランド西部では、「I am a farmer.(私は農業をしています)」ではなく「I be a farmer.」と言うのをよく耳にします。イングランド北部では、「She came to see me.(彼女は私に会いに来た)」と言うところを「She came to see us.」と言います。 標準でない形式もれっきとした表現です。アメリカでは、「you did well.(よくやった)」ではなく「you did good.」や「you done good.」などがよく使われます。二重否定や三重否定も英語圏ではよく耳にします。「I don’t know anything.(何も知りません)」の代わりに「I don’t know nothing.」と言ったり、「I don’t know anything about anyone.(誰のことも何も知りません)」と言わずに「I don’t know nothing about nobody.」と言ったりします。 お分かりのように、間違いや標準でない形式も一般に使われています。話すときに間違いを恐れないように。英語を勉強中の人が文法的に完璧な文章を作ろうと気まずい沈黙を続けるより、間違っても話すほうがずっと気安く聞いてもらえて気にもされもせん。次回は、これもよく目にする書いた文章での間違いを見ていきましょう。 「コールマンボールズ」や「スプーナリズム」をもっと詳しく知りたければ、グーグルで検索したり、ウィキペディアを調べてください。とても面白い例が見つかりますよ。 |
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7月 2022
筆者Jeff |