毎年年末になると、その年に新しくできた言葉や流行語をマスコミが発表します。そのいくつかを見ていきましょう。
どこでも(たいていは嫌な言葉として)必ず入っていたのが、「自撮り(selfie)」と「トゥワーキング(twerking)」です。 「自撮り」とは、携帯電話で自分を撮影することです。近年は驚くほど盛んで、多くの人がこぞって何百枚も自分の写真を撮ってはフェイスブックなどに載せています。昨年、最も話題になった自撮りは、ネルソン・マンデラ氏の追悼式典で、デンマークのヘレ・トーニング=シュミット首相が米国のバラク・オバマ大統領と英国のデーヴィッド・キャメロン首相と一緒に撮った写真と、ニューヨークで旅行者が撮影したブルックリン橋を背景にした写真の2枚です。シュミット首相は自国デンマークで厳しく批判されました。旅行者が撮影した写真も、自殺しようとする男性が橋の上に立っていたことで問題になり、撮影者に対する大きな非難が起こりました。 「トゥワーク」あるいは「トゥワーキング」とは、性的で挑発的なダンスのことです。MTVビデオ・ミュージック・アワードで、マイリー・サイラスが行ったパフォーマンスが話題になりました。 多くの出版物を見ると、年間で最も話題を呼んだ言葉は、(「言葉」ではなく)数字の「404」でした。これは、ネットでホームページが見つからないことを知らせる表示です。 コンピュータ用語では、「ビッグデータ(big data)」と「メタデータ(metadata)」が話題を集めました。「ビッグデータ」とは、従来のデータ処理アプリケーションでは扱えない巨大なデータセットの集合体のことです。ビッグデータを扱う分野として、科学・金融・ビジネス・行政などがあります。例として、大型ハドロン衝突型加速器(Large Hadron Collider: LHC)は、1億5,000万のセンサーが毎秒6億回の衝突を起こして、毎秒4,000万個のデータを発生させます。データは全てフィルターにかけられ、最重要なデータが選択され、1秒につき100回の衝突関連情報が保存・記録されます。 「メタデータ」とは、データに関するデータのことです。世界中のメールや電話数十億件から、米国を始めとした各国政府が情報を収集していたと、米国の元安全対策専門家エドワード・スノーデンが暴露したことで話題になりました。記録されるのは個々のメールではなく、あるメールが「いつ」「どこで」「誰に」「誰から」送られたかということです。 この暴露により、「監視(surveillance)」が今年話題を呼んだ言葉の1つになりました。 その他に話題となった新語として、「ハッシュタグ(hashtag)」があります。ハッシュマーク「#」を頭辞につけた言葉のことです。メタデータの「タグ」で、同じテーマの情報を結びつけるため、フェイスブックやインスタグラム、ツイッターなどで使われています。 2013年以前、どれくらいの人が「ビットコイン(bitcoin)」という言葉を聞いたことがあったでしょう。「ビットコイン」とはコンピュータ上でのみ存在する仮想通貨のことで、カード会社や中央銀行を介さず、あるパソコンからあるパソコンへ瞬時に送金することができます。年間を通じて価値が極端に変動したことや、ビットコインによる違法ドラッグ売買といった犯罪を行っていた闇サイト「シルクロード」の所有者を、米国警察が逮捕したという悪しきニュースにより話題になりました。 その他の年間流行語として、大統領による医療制度「オバマケア(Obamacare)」、無人航空機「ドローンズ(drones)」、保護目的で財産を隠ぺい・放棄する「強制削減(sequestration)」、「化学兵器(chemical weapons)」、議会が政府に運営資金を与えない「連邦政府機関閉鎖(Federal Shutdown)」などがありました。 2013年はこんなところでしょうか。今年がどのような言葉になるのかは誰にも分りません。ともあれ、みなさん、あけましておめでとうございます。 |
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7月 2022
筆者Jeff |