あなたはサイエンスフィクション(SF小説)を読みますか?もし読まなければ、SF小説は宇宙船やレーザー銃の話ばかりだと思うかもしれませんね。しかし、もしSF小説を読めば、多くの面白いアイデアが詰まっていて、今まさに出現しようとしている概念に当てはまっていることが分かるでしょう。ジュール・ヴェルヌは1865年に『地球から月へ』(原題: From the Earth to the Moon)を書きました。当時はそのような旅は不可能でしたが、そのわずか100年あまり後に人類は本当に月を歩いたのです。現代の私たちに関連する概念を扱っている20世紀半ばのSF小説をいくつか見てみましょう。
『1984年』(原題: Nineteen Eighty-Four)ジョージ・オーウェル作(1949年) この小説の中では、世界は3つの超大国に分かれていて、常に戦争をしており、人々は貧しいままです。主人公ウィンストン・スミスはオセアニアの一区域であるエアストリップ・ワン(英国)に住んでいます。オセアニアは“ビッグブラザー”が率いる“党”によって支配されています。党は個人主義や独立的思想を迫害するために思想警察を雇っています。すべての国民は常に政府によって監視されています。例えば、あなたがテレビを見ている間、テレビがあなたを監視しています。「ビッグブラザーがあなたを見ている」というのがスローガンです。党は、嘘、誤解させる言葉、歴史の記録操作によって人々の生活をあらゆる面で支配しています。 これは古典的なSF小説で、広く翻訳され、多くのベスト英語本リストで上位にランクインしています。本の中の「二重思考」、「ニュースピーク(新語法)」、「2+2=5」、「思想的犯罪」などの言葉が一般的に使われるようになりました。 今日、テレビはあなたのことを監視できませんが、現代社会で私たちは常に監視されています。“監視カメラ”があらゆる所に設置され、その約65%はアジアにあります。2018年、中国には1億7千万台を超える監視カメラのネットワークがあり、今後3年でさらに4億台が追加される予定で、その多くには顔認識システムも備わっていると言われています。イギリスでは、14人に1台の割合でカメラがあると考えられています。「偽ニュース」として知られている、実際の出来事に関する情報操作も増加しています。今日、インターネット上のサイトが事実を否定し、嘘の報告をし、人々を誤った方向へ導こうとすることは非常に多いです。つまり、オーウェルが描いた社会は私たちが思っている以上に現実に近づいているのです。 『アイ・ロボット』(原題: I, Robot)アイザック・アシモフ作(1950年) この本はロボット、人類、モラルの一般的なテーマの話の短編集です。アシモフはまず1942年の話の中で“ロボット三原則”を打ち立て、この本の話の中でこの原則がどのようにロボットに解釈されたり、誤解されたりするかを描きました。これらのロボットの主な特徴は、現代では人工知能(「AI」)と呼ぶであろう“陽電子頭脳”です。三原則は以下の通りです: 第1条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、何もしないことによって、人間に危害を及ぼしてはならない。 第2条 ロボットは、第1条に反しない限り、人間にあたえられた命令に服従しなければならない。 第3条 ロボットは、第1条および第2条に反しない限り、自己を守らなければならない。 現在私たちはロボットとAIの時代に生きています。そして、アシモフの考えは人工知能の倫理に重要な影響を与えています。ちなみに、2004年に同タイトルの映画がありますが、この本との関連は少ししかなく、ほぼオリジナルの作品です。 これらの本をみなさんが英語で読んでみてくださると嬉しいです。英語はそれほど難しくないと思います。 もしこれらの本を気に入ってくださったのなら、以下の本も面白いでしょう: 『宇宙戦争』(原題: War of the Worlds) H,G,ウェルズ作(1898年) 『すばらしい新世界』(原題: Brave New World)オルダス・ハクスリー作(1932年) 『華氏451度』(原題: Fahrenheit 451)レイ・ブラッドベリ作(1954年) |
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7月 2022
筆者Jeff |