地域によって、集まる人の性格は異なると思いますか。ケンブリッジ大学の研究チームは、主な5つの性格特性(外向性、協調性、誠実性、情緒不安定性、開放性)に関する英国全土約400,000人を対象にしたオンライン調査を実施しました。その結果を基に、イングランド、ウェールズ、スコットランドにある380の地方自治体について、心理学的特性の差を示した地図が作成されました。
似た性格の人が集まるという結果自体、研究者を驚かせるものではありませんでした。「国内の別地域に住む人の性格が違うことは広く信じられており、ある意味、本調査はその考えを検証したことになる」とケンブリッジ大学の心理学者、ジェイソン・レントフローは述べています。 調査によると、最も友好的かつ情緒的に安定している英国人はスコットランドに多いという結果が出ました。一方、ウェールズの場合、シャイで神経質な人が比較的多いとされています。ロンドンっ子の場合、国内で最も無愛想かつ怠惰とされました。ロンドン以外に住む人にとって、特別に驚くべきことではありません。ロンドン市民は好奇心旺盛かつ社交的であるものの、他の地域と比べ、非協力的で怒りっぽいといったイメージがあるからです。特に、誠実性は低い評価となりました。 開放的な人々は、ロンドン、オックスフォード、ケンブリッジを始め、ブライトン、ブリストル、マンチェスター、グラスゴーといった都市部に集まる傾向がありました。スコットランド以外では、イングランドの北部や南西部、東部が友好的な地域とされました。 ウェールズの大部分ならびに中部地区は、心配性で落ち込みやすく、気難しい人が多いとされました。南西部および南部イングランドとスコットランドの大部分では、情緒的に安定した人が多く、穏やかで寛大な気分が人々を支配しているとされました。レントフローは、情動的感情はコミュニティに広まって根づくため、この手の気質は一種の伝染性があると説明しています。 「情緒的特性が集団形成されるのは、我々が日ごろ付き合う人の情緒を捉えてしまうことに関係している。心配性で落ち込みやすい人と過ごせば、その気持ちは周囲に伝染する。ウェールズなど一部の地域では、炭鉱がなくなったことによる高い失業率の経験が、人々の人生観に強い影響を与えているのかもしれない」 また、物理的環境も考え方や感じ方に影響を与えます。例えば、伝染病が起きやすい地域の場合、住民は慎重に行動する傾向があるからです。 似た気質の人が同じ地域に集まる理由として、特定の地域の社会的伝統や習慣が、住民のライフスタイルを形成し、態度や行動に影響を与えることも挙げられます。 人が自らの心理的ニーズに合った場所を選んで住むことも、理由として考えられるでしょう。協調性がある人はあまり転居せず、自分が育った家族や友人の中で暮らすことを選ぶ傾向があります。対照的に、創造的かつ社交的な人は、この手の気質が低い人と比べ、移住する傾向が見られます。 お分かりでしょう。日本でも、似た性格を持つ人が同じ地域に集まっていますね。東京と大阪では、気質が違うと言われています。では、近年の困難な状況は、東北の人たちにどのような影響を与えたのでしょう。そんなことを、しみじみと考えてしまいます。 調査の全文は下記をご覧ください。 http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0122245 コメントの受け付けは終了しました。
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7月 2022
筆者Jeff |