第1回の今回は、「医学研究における統計学の位置づけ」についてお話しします。統計家の視点から見ると、医学研究とは「レストランで提供される料理」に似ています。そして、統計解析とは「調理」であり、検定手法などは「調理器具」です。 では、「調理」が完璧であれば、必ず「美味しい料理」が提供できるでしょうか?いいえ、私は出来ないと考えております。いくら、あなたが一流レストランのレシピを知りえたとしても、「食材が傷んでいる」、「衛生管理が悪い」、「料理の提供方法がおかしい」等とレストランの経営方針に問題があると、「美味しい料理」は期待できません…。 医学研究においても同様で、「統計解析」をいくら習得しても、「データの取得方法が無茶苦茶」、「データマネジメントができていない」、「統計解釈に間違いがある」、「研究計画に問題がある」等があれば、当然よくない(誤った)研究になります。 即ち、医学研究における「統計学」の位置づけとは、「統計解析」のみではなく、「研究を進める上で全体を通して必要な知識」ということです(表1)。 医学研究者とは「料理人」なのでしょうか?私はそう思いません。医学研究者はレストランの「オーナー」であるべきで、料理人が「統計家」であると考えています。
よって、本シリーズの目的である、「1.研究デザインに必要な統計学の理解」とは「良い経営方針を立てる」為に、「2.統計概念の理解」とは「適した調理方法と提供方法を選択する」為に、「3.統計専門家との議論できる知識の習得」とは「料理人と上手く相談をする」為に必要なこととなります。多くの統計書籍は「統計解析」を中心として取り扱うことが多いですが、本シリーズでは表1の上から下までを通して概説をします。 さて次回からは、具体的な統計学の話題として、「研究デザイン」において役立つ統計のお話をしていきます。ではまた。 |
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