英国の最南端は日本の最北端よりずっと北に位置しますが、北海道のような気候ではありません。その証拠にカナダではホッキョクグマが生息するのと同じ緯度にあっても英国ではブドウが栽培されます。これはイギリス諸島がメキシコ湾流の押し寄せる場所に位置しているためです。メキシコ湾流は北大西洋海流とも呼ばれ、メキシコ湾に源を発し大西洋に沿って北上し欧州に向かう強い暖流です。
またユーラシア大陸のちょうど西側に位置することから、この大陸から流れ出る乾燥した気流の影響も受けます。これら二つの要素が相まって、緯度からしたら考えられないほど暖かい気候が生じる一方で変わりやすい気候にもなりがちで、1日のうちに何度も天気が変わることと言ったら驚きです。 英国の西に位置するアイルランドとウェールズ、そしてスコットランドとイングランドの西部は東部よりも温暖で湿気が多く、風も強まる気候ですが、寒暖の差は少ないです。西部はもっと乾燥した涼しい気候で、風は東部より穏やかになりますが気温の差は大きくなります。 北部はおおむね湿気が多く寒冷で、寒暖の差が大きくなります。ロンドンを含めイングランドの南部と南東部はユーラシア大陸に一層近寄るため、大陸性熱帯気団の影響で年間を通じて温暖で空気が乾燥した気候となります。 英国は全国的に1日の中で天気が何度も変わります 。英国の大部分が南西からの海洋性熱帯気団の影響を受けますが、北からの海洋性寒帯気団のほか大陸性気団の影響も受けます。これらの気団が強くなると、スコットランド北部とイングランド南東部とで摂氏 10~15度、時には 20度もの激しい気温差が生じます。例えばスコットランド北部で気温が 15度の日、ロンドンでは30度といった具合です。 英国の夏は全国的に温暖で、暑いと感じる日はたまにあるくらいです。冬はひんやり感じたりやや冷たいと感じる気温で、1月から2月にかけて一番寒い季節になりますが、それでも摂氏0度より低くなることはめったにありません。観測史上イングランドで最も気温が低かったのはマイナス26度、最も高かったのは38.5度です。 イングランドはほかの地方よりも温暖で、温暖と言える気温の中で最大限に幅があるといった気候です。加えて雨が少なく日照時間が長い地域です。7月が最も雨が少なく、日照時間は毎年の平均で 192.8時間にもなります。 英国の南東に位置するロンドンは英国の中でも比較的晴れの日が多い地方の一つです。このため7月から8月にかけて開催されるロンドンオリンピック期間中の天気も期待できそうです。ロンドンの夏の平均気温は 24度ですが、30度を超える日も何日かあります。その上、都市型ヒートアイランド現象が起こるためロンドン中心部の気温はロンドン郊外と比べて5度位高くなるはずです。 このような気候の英国を訪ねる予定がおありでしたら、いろいろな天気に対応できる準備をどうぞお忘れなく。 コメントの受け付けは終了しました。
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7月 2022
筆者Jeff |