ブランドという言葉は製品のラインアップを指すもので、有名どころではコカコーラやサムスン、トヨタなどがありますが、有名で評判の高いブランド品にオーナーはステータスとクオリティを感じるものです。最近ではブランドの意味は多様化し、映画や音楽、そして国家さえもブランド化されるようになりました。例えば映画のスターウォーズは1つのブランドと言えるでしょう。またJポップグループのAKB48は、複数のメンバーが同じグループに融合する1ブランドと言えるでしょう。
国家もまた経済情勢などの観点からブランドとして扱われることがあります。例えば昨今の欧州連合(EU)、中でもギリシャやイタリアは困窮が一層深刻化しているブランドとなっている一方、経済力のインドや民主化を推し進めるバーマなどは強さを増す国家のブランドとなっています。では日本はどうでしょうか。 1980年代後半から1990年代初頭にかけて日本のブランド力は非常に強く、その成功の秘訣を探ろうとする欧米の有識者から注目の的でした。そうした日本のブランド力はバブル崩壊後に幾分色あせたものの、なお高い名声と勝ち組のイメージを維持してきました。 そんな中昨年3月11日に大震災が生じ、続く福島原発のメルトダウンによって日本は突然世界から連日にわたって注視されるようになりました。無事だった方々の生真面目さと勇気、復旧作業にあたる人々の勇気は高く評価され、当初日本のブランド価値は上昇しました。しかし、東京電力にまつわる嫌なニュースやその状況収拾の不手際が明らかになるにつれ、被災者への思いは別として世界は日本というブランド価値を再び格下げし始めました。 現代社会にあって情報は瞬時に世界を席巻することを誰もが知っています。スカイプやコンピューターを使えば世界中の誰でもテレビキャスターになれる時代ですから、国家や企業にとっての朗報だけでなく都合の悪いニュースもすぐに世界中に広まることを誰も止めることはできません。こうした驚きのニュースが昨年もたびたび伝えられたことはご存じのとおりです。 にもかかわらず日本の財界トップの多くが教訓を活かしていないように見受けられます。その例がオリンパスの不祥事です。日本は再び世界的に“brand化される” - 焼印を押される - こととなりました。世界中が驚かされたのは、信頼され世界的評判を得ていた会社が密かに帳簿を改ざんしていたことよりも、日本の機関投資家がこのような状況は気にも留めない有様なのだということでした。 東京電力とオリンパスの不祥事についてジャパンタイムズに寄稿した親日家で1980年から4年間駐日英国大使を務めたヒュー・コルタジ氏は、「活動不能になった福島第1原発の原子炉の冷温停止が12月になってようやく完了したことについて日本がいくら保証しても、各国政府はもはや評価しようともしなくなっていることは驚くに当たらない」と述べています。さらに、「海外の知識人の目からすれば、(オリンパス)の経営陣の総入れ替えを早急に行わなければならない」と加えています。 日本という国のブランド価値は明らかに低下しています。今年こそ持ち直し政策が行われることを期待するばかりです。 コメントの受け付けは終了しました。
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7月 2022
筆者Jeff |