夏休み中に論文作成の課題を出された学生も多いでしょう。そこで今回は上手に論文を作成するヒントをご紹介します。 まず初めに学術論文とは何かを確認しましょう。論文に該当する英語はessayです。日本ではレポートと言うのが普通ですが、実は英語では違いがあります。英語でレポートは調査結果や物事を説明するものです。例えば火事の出火原因の詳細やサッカーの試合に関する報告などです。レポートと異なり学術論文には守るべきある種のパターンと一連のルールを伴う書式があります。この書式は調和が取れ、配慮がなされたものでなければならず、奇想天外なものとなることはありません。 まず、論文につきもののルールを知る必要があります。このルールは大学ごとに若干異なることがありますので、担任からルールについて説明がない場合は質問してみるとよいでしょう。厳格に特定の要件に固執する教師もいれば、少し寛容な方法を取る教師もいると考えられます。 書式に関するルール 以下はごく一般的なルールです。 a. 論文作成者、作成日、授業のコースなどの情報を左上部に記入し、論文の題目を中央に記入します。 b. パソコンで入力する場合は1行おきに入力し、手書きで作成する場合は余白部分が確保されるように記入します。(これが一般的な要件ですが、「完成度」が高いように見えるということで、行間をあけずに書かれたものを好む教師もいます。) c. 左右上下の余白が十分あるか確認します。それぞれ25ミリあれば適切です。
d. 黒または濃い青のインクだけを使用し、一般的なフォントとされるArialか Times Romanを使用します。文字サイズは大きくても小さくてもいけません。12ポイントが適切とされます。 e. 論文作成の準備として読破した参考文献の目録作成を要件とする教師もいます。ウェブサイトからの引用がある場合はアクセスした日付も記入します。この目録が必要かどうか確認してください。 上手な書式にするコツ 論文には緒言と結論が必要です。緒言では記載内容の要点を述べます、結論部分では内容全体をまとめ(要点を再度述べ)ます。考察を扱った論文の場合はテーマに対する自分の意見を記述します。結論部分には本文中で扱わなかった内容を記述してはなりません(最終的な事実関係を一言加えるのは許容範囲です)。 論文はスッキリ読めるのが鉄則です。その一助として話題を変える時には「移行部分」を加えます。トピックを変える時は最初の一文を「トピックセンテンス」で始めます。トピックセンテンスとは、トピック、すなわち筆者が何について論じようとしているかの導入部分です。また1つのパラグラフがあまり大きなまとまりにならないようにし、1パラグラフに1つのトピックが含まれるようにします。 意見を述べる時は必ず根拠となる事実を織り込みます。あるいは自分自身の見解であるとした上で理由を述べます。 よくある書式の誤り 「First」、「Next」、「Then」などのtransition(次への展開を促す語句や言い回し)を活用するのは推奨されます。ただし、一連の物事について述べていない箇所ではtransitionを使用してはなりません。一連の物事について述べる冒頭部分での「At first」の使用も禁止です。At firstはfirstとは全く異なる意味を持ちます。Transitionはセンテンスに連結させて用います。例えば、 ‘First, I like to talk about…’ ‘Second, let me mention…’ ‘Next, let’s look at…’などです。 注意しなければならないのは、「then」は何らかの行為があるセンテンスでのみ使用されることです。例:‘Then he cut off her head.’ 数字に関する誤りは散見されます。様々な通説がありますが、一般的には1から10まではスペルアウトし、11以上は数字で書きます。くれぐれも‘200 thousand’などと記述しないようにしましょう。100万を超える場合は数字で書き始め、10万以下を小数点にして ‘million” を書きます。(例:2.7 million)厳格に1桁の数字まで追究される場合以外は‘27,316, 975’のような長い数字ではなく、‘around 27.3 million’と書きましょう。 日本人的発想・日本人的形式ともいうべき念入りすぎて煩わしい言い回しは避けましょう。例えば、‘Sweden is one of the Nordic countries’ではなく‘Sweden is a Nordic country’、そして‘It’s not only high quality but cheap’ではなく‘It’s high quality and cheap’が英語的表現です。 文章と文章の間は1スペースあけます。日本の英語の先生から2スペースあけるようにと教わった人もいると思います。実はこれはタイプライターのルールです。パソコン時代の今、1スペースがルールです。 最後に、日本語を英語の文章に入れる場合について説明します。日本そのものに関する論文を書いている場合以外は、漢字やカナを書きこむことはせず、ローマ字で表記します。特別な単語の場合はクオーテーションマークでくくるか、イタリックにします。kimonoやsushiなど世界ですでに良く知られている単語には何ら特別な表記は必要ありません。またローマ字表記する際に大文字にしたり、固有名詞をすべて大文字にする必要はありません。例えば‘Okonomiyaki’ではなく‘okonomiyaki’、‘TOYOTA’ではなく‘Toyota’のようになります。 それでは、良い論文作成に向けて検討を祈ります! コメントの受け付けは終了しました。
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7月 2022
筆者Jeff |