ご存知だと思いますが、通常、固有名詞に冠詞の「a」や「the」はつけません。実際「a」は一般的なある1種類の1つを表すのに対し、固有名詞(=名前・名称)ははっきりと限定されたものを表すため不定冠詞「a」は使えません。
ですから「I am going to Tokyo next week」と言います(the Tokyoではない)。 ではなぜ「I am going to the USA.」と書くのでしょう。 これはUSAが「United States of America」の略語であり名詞句だからです。定冠詞(the)は「states」に対して使われています。現にアメリカ人やイギリス人は砕けた場合よく「the States」と言ったりします。 正式名称が名詞句になっている他の国々も同じような言い方をします。「the United Kingdom」(定冠詞は「kingdom」に対して)、「the Federal Republic of Germany」(定冠詞は「republic」に対して)、「the United Arab Emirates」(定冠詞はemiratesに対して)などがそうです。 同じように「the UK」や「the FDR」(ドイツの頭文字に使う)、「the UAE」、「the U.S.A」など名前の略称には「the」をつけます。 「USA」の場合、ピリオドを使った略称も使わない略称もあることに注意してください。「U.S.A.」と「USA」はどちらも通用します。たいていはピリオドのある短縮形「U.S.」が使われます。もちろんすべてに「the」がつきます。 定冠詞を固有名詞と一緒に使うのは何も国の名前だけに限りません、句の一部を構成している固有名詞には定冠詞を使います。たとえば「the River Thames」や「the Mississippi River」です。「river」が前後どちらにこようと冠詞は「river」に対して使われています。 制度名にも「the Houses of Parliament」、「the United States Senate」、「the United States Congress」のように定冠詞を使います。紛らわしいのは短縮形「the House」や「the Senate」、「the Congress」(ただし「the Parliament」とはならない)にも「the」が使われることです。これはビールを注文するとき「two glasses (またはbottles) of beer」の意味で「two beers」(ビールは不加算名詞)と言うのと同じで、句全体がそうした意味を担っているからです。 同じように「river」の意味を含ませて「the Thames」や「the Mississippi」と言います。おもしろいことにこれは湖には当てはまりません。湖は冠詞をつけず「Lake Michigan」や「Coniston Water」と言います。逆に山脈は通常短縮形で使われますが、定冠詞をつけて「the Alps」や「the Himalayas」、「the Rockies」と言います。こうした言い方は一貫性に欠けていますが覚えるしかありません。 もう一つ注意すべき点は、固有名詞は書き方を少し変えるだけで名詞句になることです。たとえば、私の母校は通常「Leeds University」と呼ばれますが、正式名は「the University of Leeds」です。 固有名詞と一緒に定冠詞が使われる例をいくつか挙げました。今読んでいるものの中に何か例はないか探してみましょう。面白いですよ。 コメントの受け付けは終了しました。
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7月 2022
筆者Jeff |