編集の仕事をしていると、ピリオドの後にスペースが2つある文章をよく目にします。また、どこかの行政機関ではいまだにこの古い形を教えているとも聞きました(どこなのかは知りませんよ)。はっきり言いましょう。ピリオド(イギリス英語ではフルストップと呼ぶ)の後のスペースは1つです。この形が現代の印刷における標準です。
ではネイティブ・スピーカーを含め、一部の人が今もさかんに主張するこの「スペース2つルール」はどこから来たのでしょう。機械式タイプライターの時代、イギリスやアメリカの職業タイピストは、ピリオドや疑問符、感嘆符の後にスペースを2つ入れるよう教えられました。タイプライターではいわゆる「等幅」文字が使われていたからです。違う文字でも文字幅には違いがなく、すべての文字が同じ幅になっていました。つまり「i」も「m」も文字幅は同じだったのです。そのため、文末と文頭をはっきりさせるため、ピリオド(コンマではない)の後にはスペースが2つ必要とされていました。 ところがこれは普遍的なルールではなく、単なるタイピング上のルールでした。当時の本や新聞は、印刷工が1行ずつ手作業で単語を組み込む金属活字を使って印刷機で印刷していました。印刷工の技の見せどころは、左右の行端がきれいに揃うよう単語を組みこむことでした。このプロセスは「カーニング」と呼ばれています。印刷工は文字を行の幅に合わせて組むことができたので、ピリオドの後に空けていたスペースは1つだけでした。 今日、昔の印刷工が行っていた仕事は近代的なコンピュータ・ソフトウェアが行っています。使用される書体は文字の大きさによって幅が異なり、ソフトウェアが文字や単語の間隔を自動的に調整します。ピリオドは文の最後の文字にきれいにそろうので、スペースは1つで十分です。ワープロやインターネットのサイトで見るほとんどの書体はプロポーショナル・フォントで、使用するスペースは1つだけです。Courierのフォントは例外で旧式のタイピング書体に似ています。 なおWeb用の文書を作成している場合、いくらスペースを空けてもブラウザ上で表示されるピリオドの後のスペースは1つだけです。 したがって、電子文書の場合、スペースは1つにしてください。2つ空けると、ページや画面の空白が「川」のように見えて文章の見た目が悪くなります。クライアントからの依頼で文章を書いている場合や翻訳している場合は、先ほども述べたようにこのルールにこだわっている人たちがいるため、スペースは2つ空けにしてほしいと言われるかもしれません。その場合、2つ空けはタイプライターのルールであることを伝えるか、その仕事に限ってクライアントの要求に応じるようにしましょう。 いいですか。スペースは1つです。2つではありません。 コメントの受け付けは終了しました。
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7月 2022
筆者Jeff |