日本人からよく「スラングを教えて」とか「汚い言葉を教えて」と頼まれます。ただし、私はほとんどの場合お断りしています。
標準的でない英語で問題なのはこうした言葉があっという間に時代遅れになること、また効果的かどうかはその場の状況に大きく左右されることです。卑語や不敬な言葉、スラングはうまく使えば効果的でとてもおもしろいものです。ただ一方で下手に使うととんでもなく恥ずかしいことになり、周囲の人の気分を害し、口にした本人は穴があったら入りたくなってしまいます。 使用するスラングや口語表現によって、その人がどういう人なのかが分かります。間違った使い方は誤った印象を与えてしまいます。 良識あるネイティブ(そうでないネイティブも多いが)は聞き手に合わせるのが非常にうまく、何が好ましく何が好ましくないかを判断するすぐれた感覚を持ち合わせています。たいていの人は「God-awful」(すごい)とか「damn」(くそっ)といった表現を気に留めず聞き流しますが、中には非常に不快な思いをする人もいます。 こうしたことを防ぐため、アメリカ英語には「damn」には「darn」、「goddamn (God damn)」には「gosh-darn」といった当たり障りのない代わりになる言葉があります。ではこうした言葉は使っても大丈夫なのでしょうか。確かに問題はないでしょうが、「ださい」とか「世間知らず」と思われるかもしれません。先日、副大統領候補として敗北したサラ・ペイリンは、演説で「gosh-darn-it」(ちくしょう)のようないかにも粗野で無作法な言葉を多用したせいで、さんざん軽蔑と笑いの的にされました。副大統領のような重要な職務を担うには素養に欠けるという印象を与えてしまったのです。 おバカに見えない表現を見つけたとしても、その表現がいつまでも使える保証はありません。たいていは笑いものになるのがオチです。オースティン・パワーズのスパイパロディ映画を面白くしていた要素の一つは、彼が時代遅れのスラングを使っていたからです(オースティンは1960年代に冷凍保存された)。オースティンは二言目には「groovy baby 」(カッコいい)と口にします。これは60年代の典型的なスラングですが、今日では死語でありただのジョークでしかありません。 実際、毎日の会話では口語表現を使う必要は一切ありません。考えていることや言いたいことはすべて標準的な英語で完璧に表現できます。「クール」に見せようとしてうまくいかないことが最も「クール」ではないのです。標準的な英語を使っていれば問題はありません。 ただし、みなさんは自己責任でこの話を読んでいるわけです。もし最新のスラングや流行語を覚えたいのであればこうするのはどうでしょう。黒人ラッパーやマフィアの殺し屋の話し方を真似るならその手の映画を観ることです。ヒュー・グラントが演じるような上流階級が出てくる映画を観れば、そのような人たちが使う洒落た英語を身に付けることができます。普通DVDには英語字幕のオプションがついているので、登場人物がしゃべっている言葉が正確に分かります。こうした言葉の意味や使い方はインターネットを利用して自分でつかむしかありません。試してみてはいかがですか。 コメントの受け付けは終了しました。
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7月 2022
筆者Jeff |