イギリス連邦の4つの国すべてが3度目の全国的な“ロックダウン”下にありイギリスは今でもコロナウイルスに翻弄されています。 統計上の数字も非常に深刻です。イギリスのコロナウイルス感染者は400万人を超え、世界で5番目の多さです。死者数は12万人を超えていて100万人あたり1,700人が亡くなっていることになります。一方日本の死者数は100万人あたり約60人です。これらは衝撃的な数字で、イギリス国内で家族や友人、近所の人々の中で実際にコロナウイルスに感染した人やコロナウイルスで亡くなった人がいない家庭はないと思えるような数字です。 では、対策としてどんなことが行われているのでしょうか?政府はこれまでの対策について政治家(同じ党内の議員も含む)、新聞、ソーシャルメディア、そして一般国民から多くの批判を浴びてきました。しかし、現在は、国民は概ね3度目のロックダウンと速やかな予防接種によってようやく事態が正しい方向に進んでいると賛成しています。 さて、ロックダウンとはどのようなものでしょうか? 1月4日、ボリス・ジョンソン首相はイギリスが3度目の全国的なロックダウンに入ると発表しました。ロックダウンには明確なメッセージが込められています。それは、法的に例外と認められる場合以外は家の中にとどまり他人と交流しないことです。ロックダウン法が1月5日に公布され、議員たちは翌日それを承認しました。この法律は法律よりも分かりやすい一連のガイドラインと共に発表されています。(イギリス連邦の残りの3つの国々でも同じような規制の法案が議会で承認されました。) 人々は次に挙げる数種類の目的のためにしか外出することができません。 ・在宅勤務を行うことが極めて困難な仕事にいくため ・ボランティアのため ・食料品の買い出しなど必要不可欠な行動 ・休校や休園でない学校や保育園に通うため ・普段から接している“バブル内の”人の介護や子供の世話をするため ・医療を受けるため ・1日1回のみ運動のため ・危険から逃れるためまたは危篤の人を訪ねるため ・動物の世話をするため ・地域での礼拝や葬式に出席するため。 多くの店が休業となり、人々は交流することができません。店を含む屋内の公共の場所では今でもマスクを着用し、他人が周囲にいる時にはソーシャルディスタンスを保ち、できるだけ公共交通機関を利用しないことが求められます。結婚式やシビルパートナーシップを行うことはできますが、最大で6人までしか参加できません。葬式は最大で30人まで参加できます。引っ越しは許されていますが、一緒に住んでいない人やサポートバブル外の人は手伝うことができません。 政府は可能な人は在宅勤務をするべきだと言っていますが、大多数のオフィスワーカーが対象となります。3度目のロックダウンのあいだ、政府のガイダンスでは次に挙げる商売は休業しなければならないことになっています:テイクアウトやデリバリーを行っていないカフェ、パブ、バーなどの接客業;洋服店、雑貨店、ペットショップ、携帯電話店などの必要不可欠でないものを扱うお店;帰宅できないエッセンシャルワーカーが滞在する目的を除く一般的な滞在目的のためのホテル、ホステル、ゲストハウス;ジムやゴルフコースなどのレジャー施設;博物館、ビンゴホール、映画館などのエンターテイメント業、美容院やエステなどのケア施設なども休業しなければなりません。 政府は営業可能な業務に関するガイダンスも公表しています。そのリストには食料品店、スーパーマーケット、園芸店、市場のお店、主に修理を行っているお店、ガソリンスタンド、自動洗車場、銀行、コインランドリー、動物救護センター、礼拝所、駐車場、保管サービス、流通サービスなどが載っています。 政府は、ベビーシッター、清掃業者、福祉ケアワーカーなど他人の家に出向く必要がある職業の人は仕事を続けることができるとしています。 イギリスのロックダウンのルールは基本的に人々が会ったり集まったりすることを禁止しています―つまり、人々が他人に会ってウイルスを感染させることを防ぐために作られています。人々は一緒に住んでいる人や“サポートバブル”の中の人でない限り家族や友達に会うことができません。そのため、家庭外の人に会える状況は非常に限られています。政府は「家の外で過ごす時間を最小限にとどめなければいけない」と言っています。 これまでのロックダウンと同じように、警察には法に従わない人々に罰金を科す権限があります。初めて違反した場合は定額の罰金通告によって200ポンド(約30,000円)が科せられ、複数回違反した場合、罰金通告は最大6,400ポンドまで倍増していきます。また、大規模な集まりを主催した場合は10,000ポンド(約150万円)の罰金を科すことを許可するルールもあります。 2月22日、ボリス・ジョンソン首相はイギリスの3度目のロックダウンを終わらせるまでの“ロードマップ”を発表しました。ロックダウン解除までには4段階のステップがあり、ジョンソン首相は、各段階は感染者数、ワクチン接種の進み具合、新しい変異型ウイルス出現の有無によって判断されると言っています。 ロックダウン解除の4段階は3月初めに開始され、良いデータが得られればほぼすべての制限が解除されることになる6月末まで徐々に進められます。 別のよいニュースはワクチンです。これまでに1,790万人以上の国民-つまり、イギリスの成人の3人に一人が一回目のワクチン接種を受けています。そして、64万2,000人以上は2回目の接種も終えました。 1日あたりの一回目のワクチン接種の数は12月以降着実に増えていて、2月半ばには1日あたり40万人以上に達しています。しかし、現在の1回目の接種の7日間平均は約33万4,000人程度です。 ジョナサン・バン・タム副主任医務官はワクチンには“供給の波”があり、メーカーが安定した製造を行えるようになるまでに“数カ月”かかる可能性があることを認めました。 イギリスのワクチンプログラムは、70歳以上の高齢者、介護施設の入居者、医療従事者や介護施設の職員の上位4つの優先接種グループで全員が2月半ばまでに接種を終え、第2段階に入りました。 ワクチン接種は現在60歳以上の人と基礎疾患のある人にまで拡大しています。今後、残りの50代以上の人が続き、政府は優先順位5位から9位までのグループのすべての人々に4月半ばまでに接種を行うことを目標としています。 これまでの死亡者はこれらの上位グループの人々が88%を占めていました。 このように、イギリスでは明るい兆しが見えてきていますが、全世界が安全になるまでは私たちも安全だと思うことはできず、それまでにはまだ道のりは長いでしょう。どうか気をつけて安全に過ごしましょう。 コメントの受け付けは終了しました。
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7月 2022
筆者Jeff |