さて、議会制定法が成立しイギリスは1月31日にEUを離脱しました。これはボリス・ジョンソン首相のトーリー党政府が人々にそう思わせたいとおり、ブレグジットが“無事に完了した”ということなのでしょうか?
いえ、完了とはほど遠く、イギリスがEUから離脱するまでの移行期間をジョンソン首相が2020年12月31日より後に延長するかどうかを決断するための期限が6月にやってきます。ジョンソン首相はブレグジットは完了したものとしたいため期限の延長は避けたいところですが、EUとは今後も交渉しなければなりませんし、解決すべき問題もたくさんあります。 現在イギリスは単一市場と関税同盟には留まっていますが、決議機関からは離脱しています。ジョンソン首相は新たな交渉を成立させるために時間は“たくさん”あると言っています。では、何が問題なのでしょうか? 最も大きな問題の一つは北アイルランドの国境の問題です。テリーザ・メイ政権が下院で決議案を可決させられなかった主な原因が、この解決策を見いだせなかったことでした。誰もアイルランドとの間に実際の国境は望んでいませんが、問題は今後どうなるのかということです。アイルランド海沿いの国境によって北アイルランドは今後もEUの規制に縛られ、アイルランドの地方からの貨物はすべてイギリス本土に着くとイギリスの関税規則の対象となるのでしょうか?それとも何か別の解決策が見つかるでしょうか?この問題によって今後も交渉が成立しない可能性があるでしょう。 実のところ、イギリス自体の未来も不明といえるかもしれません。スコットランドはずっとEUを支持しており、イギリスを離れEUに残留するつもりで準備を整えているかもしれません。ウェールズやイングランド地方からもブレグジット後にプレッシャーがかかるでしょう。 他にも次に挙げるような難しい国内問題があります:まず移民政策です。今後、EUに住んでいるイギリス人やイギリスに住んでいるEU市民はどうなるのでしょうか?金融政策などの分野に関する規制も考えなければなりません。最近のリポートでは、ロンドンはすでに世界金融の中心というポジションをニューヨークに奪われつつあると言われています。また、農業や漁業の分野の問題もあります。特に、漁業に関しては過去にも激しい議論が巻き起こされています。さらに、人権の問題もあるでしょう。 これらのすべてが今後の政府の困難な未来を物語っています。政府がどのように対応していくのかはまだ分かりません。現時点での不明な要素の一つは野党労働党です。新たな党首が選出され、影の新内閣が発足するまで野党の反応は不明なままです。野党は今後の交渉において概ね政府を支持するのでしょうか?または激しく反対するのでしょうか?見守っていきましょう。 コメントはクローズされています。
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7 月 2022
筆者Jeff |