
第2回 冠詞と代名詞
日本人は冠詞や単数・複数についてあまり頓着していませんが、英語において冠詞は極めて重要な意味を持っていますので、翻訳に際しても冠詞を正確に訳す必要があります。
次の単語の違いが解りますか?
drugs, a drug, the drug
学校教育風に言えば、文章中で最初に出てきたときが” a drug”で、それ以降は” the drug”・・・と言う程度ではダメです。翻訳の際には以下の様に使い分けます。
Based on US federal law, drugs are defined as follows…
と言う文章が出てきます。ここでのdrugsは「薬というもの、薬全般」という意味であることはお解りのことでしょう。ですからこの文の訳は・・・
「米国の連邦法によれば、薬というものは以下の様に定義されています。」
という訳になります。さらに次の様な文章も出てきます。
1.Prescription-Only Medication (POM), which is only available with a valid prescription from a doctor. A pharmacist must be on the premises for POM medicines to be dispensed, as required by law. Since the medicine has been specifically prescribed for the patient holding the prescription, it is considered safe only for the recipient to take.
さて、ここで下線部のtheをどう訳しますか?
これらのtheは「この、その、本、当該」などの冠詞を付けてちゃんと訳す必要があります。なぜなら、処方せん薬(POM)というものは、その処方せん(the prescription)を持参したこの患者さん(the patient)に限定して処方される特別な医薬品(the medicine)ですので、服用する当該患者さん(the recipient)にとってのみ安全(つまり、別の人が服用した時は危険)と考えられるからです。
出てきた事柄(名詞、名詞句など)の繰り返しを避けるために使います。
欧州医薬品審査庁(EMEA)のWebサイトに以下の様な文があります。ここで下線部のItをどの様に訳しますか?
The EMEA gives scientific advice and protocol assistance to companies for the development of new medicinal products. It publishes guidelines on quality, safety, and efficacy testing requirements.
この文のItを「それ」と訳しますと、前文に該当しそうな名詞が沢山あって、どれを指しているのか解りにくくなります。この様な場合、日本語ではむしろ、元の事柄(名詞、名詞句など)を繰り返した方が自然な表現となります。
つまり、「それはガイドラインなどを・・・」と訳すよりは、「EMEAはガイドラインなどを・・・」ともう一度繰り返した方が自然で明確な表現となる場合が多いです。
さらに、日本人はどうしても単数形と複数形を混同してしまいますが、theseやthoseなどの複数形をthisやthatの単数形と区別することも大切です。「This is=これは~」ですが「These are=これらは~」とはっきり区別しましょう。
デハマタ・・・